462人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言うとてんちゃんは腰を上げ、こっちへ近付いて来た。ジリジリと詰まる距離に、あたしの神経が研ぎ澄まされる。
半径1メートル。昔のあたし達にはこの距離が当たり前だったのに、今では体が強張ってしまうよ。
「いつもありがとな、朝子」
てんちゃんは手紙を受け取る時、必ずこう言ってくれる。
その言葉はてんちゃんの心?ううん、義務感……だよね?
ここ何年てんちゃんに心を込めて接しないあたしに、心を通わす必要がないもの。
てんちゃんは義務であたしの幼なじみをしているだけ。義務で朝子と呼んでいるだけ。
最初のコメントを投稿しよう!