16人が本棚に入れています
本棚に追加
母はしゃがみ込んで、オーファーと同じ目線になり、オーファーのことを真っ直ぐと見ました。
「何で、そんな顔をするの?約束でしょ」
母は小指を立てて、指切りをするようにオーファーの前に手を出しました。するとオーファーはプンと頬を膨らました。
「何でよ?別に悪いことじゃないじゃん。あの丘には緑がいっぱいあって、小鳥やうさぎとかがいっぱいいるんだよ。優しいおじいさんもいるんだよ。危なくもないよ」
オーファーは身振り手振りで母に必死に言いました。母は頭を抱えるように俯いた表情になりました。
「オーファー、あの丘には行っては行けないの。あの丘にはね……」
「じゃあ行ってきまぁ~す」
母が真剣に話している途中、オーファーは走って家を出て行ってしまいました。母は走っていく小さなオーファーの背中を見て、悲しげな表情になりました。
オーファーはそのまま走って丘にむかいました。丘に近づいていくと、ハーモニカの音が聞こえてきました。
その音を聞くと、オーファーは少し陽気な気持ちになってきました。すると丘にむかう足は更に速くなり、あっという間に丘の前まで着きました。
最初のコメントを投稿しよう!