序章『おじいさん』

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「あっ、それじゃあおじいさんのお名前は何?」 オーファーは自分の頭を撫でるおじいさんの手を退けながら聞きました。するとおじいさんはほんの一瞬だけ表情が強張りました。 しかしすぐにニコッとした表情に戻り、オーファーを見ました。 「……今はまだ、内緒だ。オーファー、今日はもう日が暮れてきたから帰りなさい。時がくれば私の名前を話そう」 おじいさんは今までに無い真剣な表情になりました。しかし少しニコッと笑っていて、オーファーは真剣な表情だとは気づきませんでした。 「うん。おじいさん、またね。また来るね」 オーファーは満面の笑みでおじいさんに手を振りながら言いました。するとおじいさんもニコッと笑い、手を振り返しました。 そしてオーファーが行ったのを確認すると、おじいさんはまたハーモニカを吹き始めました。 その曲は少し悲しそうなメロディーで、おじいさんの表情も少し寂しげでした。
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