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豪は短時間でここまで推測する篠田に、半ば驚きを覚えた。しかし間違いであれば、死ぬというのはあまりに酷い言われよう。カンダ サヤも怒るに違いない。
「まああくまで予想だからな。何も無い事を祈るが、好きな女の事だ。色々悪い想像も頭に入れておいたほうが、実際に遭遇した時にショックは柔らぐだろ。」
「・・そうですね。言われた通り、自分もさよならの意味は判りません。そういう事を意味する可能性もありますね。ありがとうございます。ただ、別に自分は彼女が好きて訳じゃあ・・」
「隠すな、隠すな。」
篠田はテ-ブルを挟んで、右腕を伸ばし豪の肩をポンと叩いた。話し終えた合図かゆっくりと立ち上がり、笑みを浮かべた。それを見た長沼が、読んでた新聞を畳に置き、煙草とライタ-を自分のワイシャツの胸ポケットに直した。
「よし、そろそろ帰るぞ。」
店長の号令で、豪も急いで立ち上がった。鈴も店の計簿を手に取り、机の引き出しにそれを直した。
「お疲れ様でした。」
豪は自転車で帰りの路地を走った。
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