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メルに案内されて、着いたの
は、踊り場だった。そこは、椅
子とテーブルが置かれ、住人の
コミュニケーションスペースに
なっていた。
そこで、数人の人物が雑談に
花を咲かせていた。その中の一
人が、メルと私に気付いた様子
で、
「あれ? 母さん、狼はどうなっ
た…って、その子もしかして
?」
と首を傾げ、メルに尋ねてい
た。メルはそれを受けて、微笑
むと、
「えぇ、アリシアが思ってる通
りよ。皆、今日からここで、
一緒に暮らす事になった。狼
漣よ。」
と紹介してくれていた。私も何か挨拶しようと思ったが、やはり体は強張り、気持ちとは裏腹に、体はそこにいる全員を警戒していた。
それを知ってか、メルは
「彼女は、エルフと人狼のハー
フよ。今までエルフの里にい
たんだけど、そこでけして良
いとは言えない暮らしをして
来たわ。だからまだ、皆に打
ち解けれず、もしかしたら皆
を心なしに傷付けるかもしれ
ない、その時は大目に見てあ
げてね。」
と、言ってくれていた。私に
とって、その言葉はなによりも
うれしかった。そしてそれを受けた皆も、
「狼漣も、辛い目に遭ってるん だね…。でも大丈夫。私たち も似たようなものだもん。狼 漣の気持ちはわかるよ。」
と先程、メルにアリシアと呼ばれていた女性が、
「私もハーフよ。狼漣の気持ち は、痛いほどわかるよ。」
と、アリシアの隣に座っていたブロンズ髪の女性が、
「ボクも人数が増えれば、その 分楽しい事が増えるんだもん 。大歓迎だよぅ♪」
と、その向かいに座っていた、背中に羽根を持ち、水色の髪をした女性が、
「俺も、歓迎するよ。狼漣の魔 法もっと見てみたいしな。」
と先程会った達哉が、それぞれ言ってくれていた。メルはそれを受けて、
「ありがとう、皆。じゃあ私は 、少し入寮手続きしに行って 来るから。」
と言い、建物から外に出ていっていた。
残された私は、一体何を話していいか分からずにいると、達哉が
「まず、俺達の名前知らないと 、話出来ないだろうし、自己 紹介と行こうや、まず俺から 。俺は、前代達哉。種族は見 ての通り人間だ。」
と微笑み、自己紹介をして来ていた。
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