歪んだ親子の絆

2/13

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
 私が蓬莱荘で暮らし始めて、早くも一週間が過ぎようとしていた。 蓬莱荘 中庭。 「達哉!?聞いてるの?」  と私は叫んでいた。叫ばれた達哉はそれにびっくりした様子で、 「っ!? ごめん、寝てた。難し い話を聞いてたら…。」  と言い訳をして来たので、私は頭をくしゃくしゃに掻きながら、 「もう。魔法について知りたい って言ったのは、達哉でしょ う。どうしてもって頼まれた から、こうして教えているの に…寝るんだもん。失礼極ま りないよ。」  と文句を言うと、達哉は、 「ごめんごめん。でもよ、俺難 しい話とかわからんからよ。 もっとわかりやすく説明して くれよ。」  と苦笑を浮かべながら言って来ていた。私は、そんな達哉に呆れながらも 「仕方ないわね。とりあえず… 。」  と言い、達哉の前に手を出し、軽く深呼吸をすると、掌の上に光が集まり、そこに光の球が出来上がっていた。達哉は、それを見て 「おぉ、光の魔法かぁ。凄い… …。」  と感嘆の声をあげていた。私は、 「違うわ。これはただ空気中の マナを集めて、普通の人間が 見えるようにしただけよ。わ かりやすく言えば、貴方たち 人間が幽霊と呼ぶ物の正体よ 。」  と説明してやると、達哉は驚いた様子で、 「ぇ マジで。幽霊って、マナだ ったの?」  と聞いて来たので、私は 「ええ、幽霊はマナが、凝縮さ れて起きる現象よ。幽霊が、 人の姿や、動物の姿なのは、 人を始め、全生物の命が、凄 い高濃度のマナだからよ。生 物が死んだと同時に、そのマ ナは、空気中のマナと同化す るの。でもたまに宿っていた 者の意思が強かったりすると 、空気中のマナに分散されず 、そのまま残り、あのような 現象が起きるよ。」  と説明してあげると、達哉は 「それって、死人の魂が強くて 、そのマナの集合体を作るの なら、結局幽霊じゃんか…偶 然に出来たなら、少し安心し たのに…。」  と呟き、肩を落としていた。私は 「達哉はお化け、苦手なんだ? 」  と首を傾げ聞くと、達哉は慌てて、 「そっ、そんな訳ないじゃ、な い…」  と言いかけた時、後ろから白い手が達哉の肩を掴んでいた。達哉は 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !!」  と絶叫をあげていた。私はそんな達哉を見て、爆笑していた。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加