歪んだ親子の絆

4/13
前へ
/72ページ
次へ
「さっき、狼漣にも言われたよ 。そだ、アリシアも魔法につ いて教えてくれよ。」  と切り出していたが、それまで笑っていたアリシアの表情が少し曇り、 「いやぁ、あたしはてんで駄目 なんだぁ。全然教わってない と言うか…なんと言うか…。 」  とばつの悪そうに言っていたので、私は小首を傾げ 「教わっていないって、メルは ? ハーフエルフだって魔力を 持つ者だ。本来なら制御法は 、10歳までには習得させな いとならない。と世界基準法 で定められているはずよ?」  と聞くと、アリシアは 「まぁね。でも母さんは、無理 だよ。あたしに魔法を教える 事はしない。だってあの人は 、あたしをハーフエルフとは  見てない。あの人はね。あた しのお父さんしか見てないか ら…。」  と俯き、言って来ていた。私はそれを聞いて、怒りを覚えた。  魔力を持つ種族、エルフ、妖精及び、その血を引き継ぐ者たちは、生まれ持って魔力を制御できるというべきのものではない。  赤ん坊の時は、クズッたり、くしゃみしたりした際に、体内の魔力が外に出され、外気のマナと反応を起こし、簡単なボヤや、不思議な現象を起こさせたりする。そのために、新生児から三歳までは、ドワーフの作った魔力制御装置を取り付ける決まりになっており、三歳から10歳までには、魔力制御装置を外し、自力で制御が出来るようになる為の訓練を義務付けられている。この期間は、個人まちまちで早くて、4歳つまり一年で制御出来るようになる子も、いればぎりぎり10歳の終わりに出来るようになる。  これを怠れば、制御の術のない魔力は、体に満ち、そして限界を迎えた体は、魔力の圧力で暴発し、その者に迎えられるのは…       『死』  だけだった。つまりメルは、それをわかっているはずなのに、アリシアに対しての義務を怠っているのだ。  アリシアの年齢は、確か17。もはや17年分の魔力を溜め込んでいる事になる。私の知っている限界は、18年…。だという事は、アリシアは良くて来年、悪くて今にも暴発が起きてもおかしくない体だという事になる。  私は事の重大さに慌て 「アリシア、貴女はメルに従う つもりなの?」  と聞いていた。本当は、すぐにもアリシアの魔力を外に放出してやりたいが、もしアリシアがそれを望んでいなければ、どうにもならなかった。アリシアは、
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加