歪んだ親子の絆

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「そ…そんな訳ないじゃない。 あたしだって生きたい。母さ んに付き合っていたら…あた しは…」  と俯きながら、言って来ていた。私は 「なら…、わた…。」  言いかけた時、アリシアが 「でも、出来ない…。」  と答えて来ていた。私は 「…っ!?どうして?このまま 魔力を消化せずにいたら、あ なた、必ず死ぬ事になるわよ ?」  と首を傾げ聞いていたが、アリシアは俯いたまま、黙ってしまっていた。すると達哉が、 「アリシアは、俺達がここにく るまで、孤独だったんだよ。 ハーフエルフとして、生まれ たアリシアは、世間から冷た くされてさ。義務教育のはず の小学校から、ただ存在が皆 の教育によくないからと、一 方的に退学処分され、学校に 行ってない事から、周辺に暮 らす同年代の子供から、虐め られていた。その中で、歪ん でながらも、母は人間として だけど存在を認め、愛を与え てくれた。だからアリシアは 、母の愛を受け止めるしかな かったんだ。今アリシアは、 二つの恐怖を感じているんだ 。一つは、死への恐怖。そし てもう一つは、魔法を習う事 で、母から見放されてしまう んじゃないかという恐怖をね 。俺達も、何か助力したいの は、やまやまなんだが、俺や ミントじゃ力になれないし、 親友であるプレセアの言葉す らきかず、揚句 、それが原因 で喧嘩したぐらいだから。も うお手上げ状態なんだ。」  とアリシアの代わりに、説明してくれていた。私はそれを聞いて 「なるほど…。だけど、何がな んでも、アリシアに魔法を使 わせる。私は、もうあんな思 いをしたくない。」  と力強く言うと、アリシアはか細い声で 「でも…。」  と言って来ていたので、私は、 「でも…じゃない! 大丈夫、ア リシアが魔法を使っても、メ ルに見放させる事はさせない 。私に任せてよ。」  と不敵に笑い言うと、達哉は 「何か、策があるというのか? 」  と小首を傾げ聞いて来たので、私は 「えぇ、私はメルの親友の娘で あり、アリシアとは別例だけ ど、似た事例を知っているわ 。あまり触れられたくない、 認めたくない事だけど、私は 知人を同じように無くしたく ないから。」  と表情を陰らせながらも、すぐに笑いに変えて言うと、アリシアは 「狼漣…」  と目に涙を浮かべながら、私に助けを求めるように呟いていた。  
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