歪んだ親子の絆

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 それから、私たちはメルの部屋を訪れていた。 「メル、ちょっとアリシアの件 で、話があるんだけど いいか しら。」  と、私は部屋に入るなり、そう切り出していた。メルはやっていた事に手を止め、私の方を向き 「アリシアの事で? 何かしら? お小遣は、例え狼漣に頼まれ たって上げないわよ?」  と微笑みながら、言って来ていた。私は検討違いな対応を受け、苦笑し 「違います。アリシアの体に貯 まっている魔力についてです 。」  と切り出すと、メルはすぐに真顔になると 「なんの事かしら、アリシアは 人間よ。人間に魔力が貯まる 訳ないじゃない? おかしな事 言うわね。」  と冷めた笑いを浮かべ、言って来ていた。私は、 「違う! アリシアはハーフエル フよ!メル、エルフと人間と の間に、純血の人間が産まれ る訳ないじゃない!」  とメルの放った言葉を全否定していた。だが、メルは 「産まれるわ。ただアリシア以 外に前例がないだけ…。アリ シアは、奇跡の子なのよ。」  と病的に笑いながら、言っていた。私は、それを聞いて絶句した。まさか、ここまで思い込んでしまっているとは、思いもしなかった。私は、 「そんな奇跡、起きない。現に アリシアの体には、限界に近 い魔力が蓄積されているわ。 メル、あなただって気付いて いるはずよ。」  と力強く言うと、メルは私のしつこさに苛立ちを覚えたらしく、 「うるさいわね! アリシアは誰 が何言おうが人間なのよ!あ なたに、口だしなんかされた くないわ。」  と叫ぶように言って来ていた。私は苦笑すると 「…メル。貴方がそこまでする 理由は私には、わからない。 だけど、このままいけば、ア リシアは必ず命を落とすわ。 メル、貴方それでもいいの? 」  と切り出すと、メルは押し黙った…。恐らく、死という事に敏感に反応しているのだろう。  それから数分、周囲を沈黙が支配し、そして 「アリシアは人間なの。魔力を 持ってないんだから、そんな 事はないの。余計な事言って 、アリシアを不安がらせるの は、やめて。」  とメルが俯きながら、言っていた。私は
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