歪んだ親子の絆

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「アリシアは、気付いているわ 。自分の中で魔力が溢れそう になっている事…。そのまま いったら、自分が死ぬ事も気 付いているし、死の恐怖と今 も闘っているわ。でも貴方と の関係を崩したくないからっ て、貴方に魔法を教えて欲し いと、言い出せずにいるの。 メル、事が起きてからじゃ、 遅いんだ。だからお願い、ア リシアに、魔法を教わる事を 許可してあげて。」  と力強く言っていた。だがメルは 「貴方には関係ない事じゃない !アリシアは人間なの!アリ シアの事は私が考える!部外 者が余計な口だししないで! 」  と半ばキレた状態で叫ぶように、言っていた。私は、 「関係あるわ。私も、魔法を使 わずに、命を亡くした者を知 ってるわ。だから言うの!も う、私の知っている人が、亡 くなるのを感じるのは、嫌よ !」  と言い返すと、メルはそれを聞いて、今までの威勢はなくなり、真剣な顔になると 「…それって、セーヌの事?セ ーヌは病気とかではなく、魔 法を使わずに、魔力の暴走で 亡くなったって言うの?」  と首を傾げ、尋ねて来ていた。私は俯き 「えぇ、そうよ。」  と力無く答えると、メルは膝を折ると 「そんな、セーヌが…魔力の制 御に長けていたセーヌが…ど うして?」  と信じ切れない様子で、聞いて来ていた。私は 「私は魔力の暴走の波動を感じ ただけで、事の詳細は知らな いけど、多分、あの人は私の ために動いて、長く魔法から 離れた生活をおくっていたん だと思う。それで…。」  と答えると、メルは、 「そう…。」  と肩を落とし、つぶやいていた。アリシアはそれを聞いて、 「セーヌって?」  と首を傾げ、尋ねて来たので、私は 「…私の母よ。」  と短く答えると、アリシアは驚いた様子で、まるで聞いちゃいけなかったと、ばつのわるそうに俯き、押し黙っていた。  私はそんなアリシアの表情を見て、笑って見せると 「そんな顔しないで、私なら平 気よ。   だから、メル。お願い、母 さんの悲劇を繰り返さないた めに…。」  とメルに、懇願していた。メルはそれでも 「アリシアは大丈夫…大丈夫な のよ。アリシアは人間だもの …。」  と自分に言い聞かせるように言って来ていた。
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