歪んだ親子の絆

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 と首を傾げ尋ねると、メルは 「確か、人狼が事実無根の理由 に、報復して来たのが、始ま りだったわね。エルフが、人 狼の子供をさらって、血を採 集しているとか。そんな事実 なんてありはしないのに。」  と答えて来ていた。私はそれを聞いて、首を横にふると 「いや、事実よ。当時空気中の マナがかなり濃かった。その 為、エルフや妖精の間で、魔 力を必要以上に取り込み、暴 走や暴走未遂が多発した。   かなり深刻な事態に陥った エルフたちは、秘密裏に解決 策を見つける為に調査し、あ る事実にたどり着いた。それ は人狼の血に、魔力を抑える 成分が含まれており、それが 魔力の暴走を食い止める力も 持っている事に。だから、エ ルフは秘密裏に、人狼の子供 をさらい、その血で暴走を抑 える薬を製作する事に成功し 、子供たちを掠われた人狼は 激怒し、不可侵を破り攻め入 って来たんだよ。」  と説明すると、メルは 「そんな事実が…。でもそれと 、今回の事が関係があるの? 」  と首を傾げ、聞いて来たので、私は微笑み 「えぇ、その魔力を抑えると言 われる薬が、ここにいるわ。 まぁ純血ではないから、効果 は薄いと思うけど、命は救え ると思う。」  と答えると、メルは私の意図に気付いたらしく、口を抑え 「狼漣、貴方まさか…。」  と言って来たので、私は頷き 「えぇ、私の血をアリシアに飲 ませて。若干暴走の後遺症は 出るかもしれないけど。死よ りかは、マシな筈よ。」  と言い、護身用に持ち歩いていたナイフを取り出すと、左腕の肉をそれで切り裂いていた。切り傷から、夥しい程の血が流れ、アリシアに差し出すと、 「ちょっと見た目があれだけど 、私が良いって言うまで、こ の血液飲んで、アリシア。」  と言うと、アリシアは少し躊躇した。やはり血とわかって飲めるもんではなかった。だが狼漣が、自分の為に自分の腕を切り裂いてまでしてくれた事を無下に出来ないと感じ、アリシアは決心を決め、私の腕から滴る血液を飲み始めていた。    数分して、アリシアからはっしられていた光は収まり、そしてただのマナとして、空気中に霧散していた。私はそれを確認して 「アリシア、もういいわよ…」  と、かなりの血液を失い、かなり意識が朦朧としながら言うと、
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