歪んだ親子の絆

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「まぁね。私は監禁されていた 時に魔力石の製造をやらされ ていたの。それをする事で、 他の住人を納得させようと、 母と長老が苦し紛れに与えた 役割だけど。」  と言うと、メルは 「そうだったんだ。でも皮膚が  石に変化したって事は…ア リシアの左腕は…」  と顔面蒼白にさせながら言って来たので、私は 「えぇ、石を取っても二度と再 生しないわ。アリシアの左腕 はこの先ずっと動かないわ。 」  と何の躊躇いもなく、説明すると、メルは私に縋り 「なんとかならないの!?狼漣 …お願い、何でも約束するか らアリシアの左腕を…。」  と頼んで来たが、私は 「それは無理よ。皮膚の魔法石 化を治す方法はない。残念だ けど、アリシアはこれから左 腕のない生活をするしかない わ。」  と冷たく言っていた。アリシアは現実をたたき付けられ、自分の左腕を見つめ、一瞬考えたのち、 「狼漣、ありがとう。」  と礼を言って来ていた。あまりにいきなりのアリシアのお礼の言葉に、私は驚いていた。それを見てか アリシアは微笑むと 「狼漣のおかげで命助かった。 たとえ左腕の自由が、無くな ろうとも、あたしは嬉しいよ 。この地に立っていれる事。 もし 狼漣がいなかったら、 多分あたしは死んでた。だか ら本当にありがとう。」  と再びお礼を言って来ていた。私は少しアリシアをすごいと感じた。普通なら受け入れるに大変な現実を受け止め、受け入れた上で、笑って私にお礼をいう余裕さえもある事に。 、アリシアの強さを垣間見て、メルは 「アリシア、ごめんなさい。い くら謝っても許されない事だ けど 本当にごめんなさい…」  と泣きながら、アリシアに謝っていた。だがアリシアはメルを責める事はなく 「母さん 何謝っているのよ。あ たしは別に母さんを怨んだり してないし、責めたりはしな いわ。ただただあたしは嬉し いよ。母さん、私がハーフエ ルフとわかってもなお、娘と して扱ってくれた…。母さん 、ありがとう。」  と微笑み、お礼を言っていた。それを聞いたメルは、その場に泣き崩れて あとは言葉にならなかった。  それを見届けた私は、一人その場を離れ、中庭に一人出ると、私の体は光に包まれ、光がおさまると私の体は、狼の姿に変化していた。  狼変化して、暫く休んでいると、人の気配がし、私はとっさに起き上がると、そこには達哉がいた。
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