愛しき人との約束

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 どうしてそこまでしてくれるのかって聞いたら、彼は、『恩は必ず返せと、父からの教えなんだ。俺に出来る事って言えば、お前さんを守るというぐらいしか出来ないから、この命果てるまでお前を守る。』って答えて来たの。それを聞いて、私は心を打たれた。彼の事が好きになり、そのような関係になるのは、そう遅くはなかったわ。でも彼は人間で、私はエルフ。異種族の恋愛は禁忌だった。だからそれが皆に、知れた時、私は審判の座に立つ事になった。もちろんニールと共に。私は彼に対する愛が本気である事を皆に訴えた。セーヌも、説得して来たけど、いくら親友の説得に応じる訳には行かなかった。そして私に処せられた罰は、集落からの永久追放だった。    追放されての私は、ニールと隠居生活を強いられたわ。ニールは人間の社会では、反逆罪に問われ、指名手配されていたから。  逃げ隠れの生活だったけど、ニールとの暮らしは、楽しかったわ。アリシアを身篭るまで、そう時間はかからなかった。だけどもうすぐアリシアが産まれるという時に、私たちが隠れ住んでいた場所に、人間の軍隊がニールの居場所を突き止め、やってきたの。ニールは私を助ける為に戦った。  多数に無勢。明らかにこっちが不利で、そしてニールは私を庇う形で、敵の矢を受けた。即死だった。私は、目を疑った。愛する人が目の前で死んでいったのが信じられず、ニールに駆け寄って。必死に呼び掛けた。ニール、ニール!って。でもニールは答える事も、目を開ける事もなかった。そして私は怒りに身を任せた。  軍隊を全滅させたあと、私はニールを弔う為の準備をしていた。その時ニールの服の懐に手紙が入っている事に気付いたわ。手紙にはこうかかかれていた。 「僕の愛するメレスへ   この手紙を読んでいるとい  う事は、僕の身に何か起き  たんだね。ごめんな、メレ  スを悲しませて。      メレス、レイアークに蓬莱  荘と言う建物がある。   そこは、本当なら全てが終  わった時、お前とアリシア  …ぁ アリシアっていうのは  産まれてくる子供の名前だ  。勝手に考えてごめん。で  もいい名前じゃないか?   っと話がそれてしまったな  。おまえとアリシアと三人  で暮らそうと思ってた場所  だ。      でも一緒に暮らすって事は  敵わなくなってしまったが  、二人だけでも、そこで幸  せに暮らしてくれ。
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