1232人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、
「ごめん、大ちゃん、
今から老人ホームに行かなくちゃいけないの。」
と言うと彼は
「そっか。頑張って。」
と手を振った。
私はいつものように大ちゃんを見て
「また明日ね。」
って言ったけれど、
大ちゃんもいつものように私を見ないで、
「ああ。」
と言った。
やっぱり今日も見てくれなかった。
そんな想いを抱いている自分のわがままが
つらくなった。
私は緑丘老人ホームへボランティアのために、
一緒の帰り道を離れた。
どうしても大ちゃんの姿をもう一度見たくて、
振り返った。
もしかしたら、あなたも振り返ってくれてるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に
体を反転すると、
そこにはすでに
彼の姿は無かった。
…私の想いは重いのかな。
そんな不安が
誰もいない路地を
余計に淋しくさせた。
、
最初のコメントを投稿しよう!