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でも、私の願いは叶わなかった。
大ちゃんの見開いた目はまっすぐに唇を重ねた私達を見ている。
青様のぬくもりが伝わってくる。
遠い憧れの存在の人が、こんな私にキスをしてくれている。
でも私、喜べなかった。
重なった唇が離れた瞬間、
大ちゃんは青様に飛びかかった。
見たこともない怖い顔をして。
私は気づいていた。
これは、あの詐欺師が言ってたことなんだって。
『何があっても拒否をするな』
その言葉が、どこからか聞こえてきて怖くなった。
周りを見渡しても、その男はいない。
耳から離れない詐欺師の声。
…これは私が望んだこと。
、
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