182人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁな」
「もし二人が本当は同じ未来に向かってなかったら、それは悲しいことだよね」
「…どういうこと?」
奏者の表情が曇った。
僕は話を続ける。
「絶対零度は…四季は一緒に死ぬつもりでここにいるんじゃないんだ」
反応はなかった。
何かを感じ取ったように押し黙る奏者。
多分もう気付いただろう。僕の言いたいこと。
「四季は一人で死ぬつもりなんだ。ここへは最後の時を過ごしに来たんだ」
あまりにも唐突な話に、奏者は唇を噛んで何かを考え込む。
「…それで、俺はどうすればいいと思う?」
口を開いて出た言葉に僕は、ずっと考えていた言葉をぽつりとつぶやいた。
「永遠はここを離れるんだ」
「は…」
「向こうにつけとは言わない。でも、もう絶対悪の手助けはしないでほしい…」
ここから戦力を奪い、少しでも計画を遅らせながら、絶対零度を説得しなくては。
そのために、奏者の力を欠くことは、少しだけど足止めすることになると思うのだ。
最初のコメントを投稿しよう!