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「…二人はまだ、同じ未来を見れないままだったんだな…」
寂しげな奏者の表情に、僕も胸が痛くなる。
「考えてはみる。二人のそばで見ててやりたい気持ちはあるけど、確かに俺には説得も出来ねえし、ここにいたらやっぱりどうしても聖一のこと助けてやりたくなるし」
けど、と一旦言葉を切って、奏者は腕を組んだ。
「もしそうだとしたら、四季はどうやって死ぬ気なんだ?いまんとこ見てたら計画には協力的だし、ちゃんとケアも受けてるだろ」
そう、それが問題なのだ。さっぱりわからない。
奏者は眉をひそめて不安な気持ちを零した。
「あんな風に生きてるだろ?あっさり死ぬ奴じゃない気がする…恨まれて殺されるほうがいいって奴だ、パラノイアがまた狙ってくるのを待ってるのかもしれない」
確かに、それは有り得そうだ。
僕はもしかしたら、すぐにでもこれを絶対悪に話すべきなのかもしれないけれど、どうしても迷っていた。
そこで絶対零度の気持ちを知って、絶対悪は平気だろうか。
裏切られた気分にならないだろうか。
その先を、僕は知らない。
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