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両手に構えたデザートイーグル。
何も吊されていない点滴用器材と、ハサミ。
何人かの殺し屋を雇ったらしい。
偶像崇拝を迎え撃つその面々の横で、奏者は複雑な表情を浮かべたまま予備の銃弾を弄んでいた。
絶対悪から離れようと決めたはいいが、いつここを出るか、それがまだ曖昧だった。
僕は、その心中を察して、申し訳ないような気がしていた。
話すタイミングを間違っただろうか。
遠くから見ていることしか出来ない僕は、ぐっと拳を握って唇を噛む。
「誰も、渡しませんからね」
絶対悪がそう言って笑った。
その目の前で、偶像崇拝はわざとらしく肩をすくめる。
「怖いねぇ、聖一は」
余裕っぽく見えるが、戦力としてはあまり下手なことはできないはずだ。
この前の戦闘で時間屋は負傷しているはずだし、絶対零度に太刀打ちできるのは偶像崇拝くらいだ。
奏者のほうはおそらく銀色がつくだろう。奏者がどう出るかはわからないが、戦うにしてもそれがいい。
そうなると、残りを退廃世界や傀儡が何とかしなきゃいけなくなるわけだが、絶対悪だって弱いわけじゃない。
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