182人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は棗に捕まえられて二階からその様子を見ているしかなかった。
棗一人なら僕もあがきようはあったが、残念ながら天国さんも一緒にいる。
僕は祈るしかなかった。
やはりどんなに敵対していても、いくら騙されたと言っても、宵待や月欠は直接ここへ来て絶対零度とやり合う気にはなれなかったようだ。
思うに、絶対零度が自分を『最強』と称した所以はそこにあるような気がする。
狐との一件以来、宵待は少々感情的になった。
そうなると、偶像崇拝がそうだったように、きっと絶対零度ほどの人物なら宵待の動きも多少読みやすくなるはずだ。
身体能力は宵待のほうが上だろうが、冷静さと頭の回転の早さを考えると、絶対零度が勝てる確率は高い。
なんせ宵待は長い間騙されてきたのだ。その分感情的になるに違いない。
宵待にも勝てるほどの頭脳の持ち主で、偶像崇拝に匹敵する力の持ち主。
どう見たって絶対零度を敵に回すのは面倒だ。
僕からしてみれば、他にも気にかかることはある。
本当は心中する気などない絶対零度が、敵を目の前にして一体どう出るのか。
何故戦うのか。
最初のコメントを投稿しよう!