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それに、退廃世界の場合、銃を抜くのと弾を装填するのが速い。
思っていたよりは、心配する必要もなさそうだった。
ふと気付いたのだが、いつの間にか奏者と銀色の姿がない。
一体どこに消えたのだろうか。
その間も、戦いは激しさを増す。
僕は、時間屋の姿を探した。
あいつのことだ、怪我をしているとはいえ、ここに来ていないわけじゃないだろう。
偶像崇拝なら時間屋にだって何か役割を与えているはずだ。
と、その時だった。
部屋の外で誰かの悲鳴が上がる。
僕らははっとして振り返った。
「もしかして…!」
棗がホルスターから銃を抜いた。
「先生、夢路をお願いします!」
そう言って、ドアの前に立つ。
ドアノブに手をかけようとした瞬間、カチャリ、とドアは開いた。
慌てて一歩、後ずさる。
そこにいたのは、やはり彼だった。
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