弐【逢】

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 扉を開ける前、奏者が言った。  覚悟。  一体何に対する覚悟だろうか。  天国さんの手は、もう扉の取っ手を掴んでいる。  この扉の向こう。  絶対零度が待っている。 「お前が世話してやった頃みたいな、あんな可愛いもんじゃない…ひでぇ状態だから」  絶望に出会う時に、言葉なんていらない。  語れるものなんて何もない。  ただ、溢れるのは、 「開けるぞ」  君の代わりに流す、涙だけ。
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