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扉を開ける前、奏者が言った。
覚悟。
一体何に対する覚悟だろうか。
天国さんの手は、もう扉の取っ手を掴んでいる。
この扉の向こう。
絶対零度が待っている。
「お前が世話してやった頃みたいな、あんな可愛いもんじゃない…ひでぇ状態だから」
絶望に出会う時に、言葉なんていらない。
語れるものなんて何もない。
ただ、溢れるのは、
「開けるぞ」
君の代わりに流す、涙だけ。
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