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天国さんが聞くと、絶対零度は小さく頷く。
「今日は気分がいい」
皆普通に話しているけれど、僕は何を言っていいのかすらわからない。
「所長、あとは首のコードからの信号を切るだけです」
「うん、切ってくれ。動きたいだろう、四季。折角夢路がここに来てくれたんだ、こんな所では話も出来ない」
「ん…ありがとう」
首のコードを外して、絶対零度は小さく伸びをした。
「体が変だ。自分の体じゃないみたい」
苦笑して、ゆっくりと足を下ろす。
奏者がさりげなく腕を出した。
多分この中じゃ一番力があるし、絶対零度は背が高いから、支えるには奏者くらいがちょうどいい。
「ありがと、奏者」
「…ん」
どうやら立てそうだ。
絶対零度は少しだけ足を動かしてみて、うん、とつぶやいた。
「歩けそう。着替えてくるからリビングで待ってて」
僕に向けられた視線。
一瞬ドキッとして、僕は何も言わずに頷いた。
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