182人が本棚に入れています
本棚に追加
/354ページ
それから僕は奏者に連れられて、リビングへと戻った。
「緊張した?顔色が悪いよ」
リビングで待っていた絶対悪が、くすくすと笑う。
「一度くらいはあの状態の四季も見てほしかったからね。ちゃんとしっかり見てくれたみたいで嬉しいよ」
「…ずっとあの状態なんですか?」
「そうだね、あと少しの辛抱だよ。今は眠れないだけだから」
「眠れない…」
絶対悪は立ち上がり、リビングの隅の食器棚からグラスを三つ取り出すと、僕たちを手招きした。
「話はお茶でも飲みながらゆっくりしようよ、夢路君」
僕たちは、促されてソファに腰を下ろした。
ちょうどそこに、急須と湯飲みを乗せたお盆を持って、棗が入ってくる。
「二人とも戻ってたの」
そのお茶が、絶対零度のための物だというのは、容易に想像できた。
「玉露?いいもの買ってきたね、棗」
「…四季とお茶飲むのは久しぶりだし」
絶対悪は笑いながら、僕にアイスティーを差し出した。
それを受け取って、僕は口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!