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その様子に、思わずキョトンとしてしまう。
どうやらこの家ではこれが普通らしい。誰も反応はしない。
「いい子」
絶対零度の頭を撫でて、それから絶対悪は棗の持っていた湯飲みを受け取った。
それを差し出して、首を傾げて笑う。
「でも、まずは僕に言わなきゃいけないことがあるんじゃないの?」
「あ…夢路のこと、ありがとう」
「ん、よしよし」
絶対零度は湯飲みを受け取り、ちびりとお茶をすすった。
ぼんやりと、二人がとても愛し合っていることを実感した。
けれどなんだろう、この切なさは。
「夢路、先生と会ったんだね」
ふと絶対零度が言う。
僕は小さく頷いた。
「そうか…」
少し笑って、絶対零度はそっと絶対悪の膝に頭を預ける。
「四季?」
「…眠い、聖一」
ほんの少しの会話で、疲れてしまうらしい。
目を擦りながら、それでも絶対零度は動かなかった。
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