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まだ話をしたい、と言って、お茶をまた一口、飲み込む。
「四季は夢路が好きだね」
絶対悪の言葉に、僕は複雑な気持ちだった。
どうしてそんなに気に入られたのか、まだ僕にはよくわからない。
ていうか、正直なところ、わからないことだらけでついていけないのだ。
絶対零度には、沢山聞きたいこともある。
「大丈夫?」
「聖一が仕事に行くまでここにいる…」
「はいはい」
僕は絶対零度を見つめながら、無意識のうちにキスの面影を探していた。
どうしてこんなに別人に見えるんだろう、とか、絶対零度はいつも少し悲しげだな、とか、そういうことを、考えた。
ただ、ここにいるときの彼は、嫌いじゃないかもしれない。
戦いの場所では絶対的な殺意に溢れていた彼も、ここでは静かで、穏やかな雰囲気だ。
それがここにいる家族に対する愛情の表れだということは、何となくわかる。
「夢路、こっちはどう?暮らしていけそう?」
「あ…うん、いいところだよね。棗や永遠に少し案内してもらったよ」
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