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「そう。もう少し調子が良くなったら俺とも出掛けよう」
「うん…」
なんて聞いたらいいんだろう。
どんな風に、絶対零度の気持ちを知ればいいんだろうか。
僕は、聞きたいことを思い浮かべてはみるのだけれど、なかなか話し出せずにいた。
「ああ、四季、ごめん。そういえば律子がこっちに来るのを忘れてた…少し出掛けなきゃ」
時計を見て、絶対悪が立ち上がる。
「律子さん?何でわざわざこっちまで?」
「新人研修頼んでてさ。律子以外に頼りになる人思い付かなくて」
「再婚すればいいのに。あんなに仲良かったんだから」
僕はびっくりして絶対零度を見る。
まさかそんなことを言うとは思わなかったから。
「終わっていく人生に、道連れなんてお前一人で十分だよ」
絶対悪は、心なしか自嘲気味に笑って、見上げる視線を振りほどいた。
「ちゃんと寝かしてもらうんだよ?まだ話をしたいなら絶対先生にそばにいてもらいなさい」
「はい」
「棗、あとは頼んだよ。永遠は運転手」
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