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「えー、何で俺ばっかり!」
「文句ばっか言ってないでさっさとしな」
僕たちは二人を見送って、それから再びリビングでテーブルを囲んだ。
棗が絶対零度を覗き込む。
「まだここにいたい?」
絶対零度はこくりと頷いて、棗を見上げた。
「先生、呼んできてあげるから」
「ありがとう…悪いな、いつも世話かけて」
「いいの。私も四季に助けられたんだから」
棗はそう言って笑うと、僕のほうをちらりと見る。
その視線が何を言いたいのか何となくわかったから、僕は小さく頷いた。
部屋を出ていく棗の後ろ姿を見送って、僕はそれから、絶対零度のほうへ向き直る。
見ていて、と、棗の視線が言っていたから。
「ねえ、四季」
僕はおもむろに口を開いた。
「なんだ?そんな顔して」
情けない顔をしていたのかもしれない。
僕は一瞬口ごもり、躊躇いながらも、聞かずにはいられなかった。
「さっき、絶対悪に再婚を勧めたのは…本心?」
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