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ああ、そんなことか、と、絶対零度は苦笑する。
だって、絶対零度は絶対悪が好きなんだろう?
だったらどうして結婚なんて勧めるんだろう。
折角離婚してそばにいてくれてるのに。
「元々律子さんと結婚したのも、俺が勧めたんだ。聖一に幸せになってほしくて」
「そうなの?」
「聖一は女の子が大好きだからね。律子さんのことを前々から気にしてたのは知ってたし」
僕はなんだか納得できなくて、ちびりとお茶を飲む。
「それじゃ四季はどうなるの?四季は絶対悪が好きなのに、一人になるじゃん」
絶対零度は明るく笑った。
「いいんだよ、それでも。それはそれで最高の放置プレイだぜぇ?」
そう言ってケラケラ笑うところは以前と変わりなくて安心する。
けれど、絶対零度がとても悲しい人なのは、僕ももうわかっていた。
「自分が先に死んじゃうのをわかってて一緒にいられるほど、俺は強くないんだよ」
きっとそれが本心だ。
別れを悟った瞬間に、一緒にいられなくなったんだ。
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