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それから数日間、僕は奏者と一緒に絶対零度のリハビリに付き合った。
ずっと繋がれていたせいで動きが鈍ってしまったとか言っていたが、いまいち実感はわかない。
だって、普通に動いてるし。
奏者と二人で組み手みたいなのをしていたときも、対等にやり合っていた。
しかし、対等なのが問題なんだろう。
「十分ありゃ勝てると思ったんだけどなぁ」
やっと奏者を打ち負かして、絶対零度は首を傾げた。
「て…め、俺のこと、なめてんのか!」
絶対零度に踏まれた格好で、奏者が喚く。
「…若干」
「な…ちょっとは嘘付け、馬鹿!正直に答えてんじゃねえよ!」
なんだか兄弟みたいで微笑ましいなぁ。
なんて、そんなことを思いながら、僕は二人を手招きした。
「二人とも、棗がご飯出来たって呼んでるよ」
「へーい」
絶対零度はさりげなく奏者を助け起こし、それからカーディガンを拾った。
これから肌寒くなってくるし、防寒具でも買ってやらなきゃな。
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