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「…俺はむしろ、こんなにあっさりついて来たお前が心配だわ」
「ああ…うん…」
僕はなんと返していいかわからず、とりあえず酔い止めの薬を売っているのを発見してそれを手に取る。
「なんていうかさ…絶対零度のことは僕もずっと気になってたんだよね。大丈夫かなぁって…」
「そんなん聞いたらあいつ、すげえ喜ぶよ」
奏者は青い髪を掻き上げて、はは、と笑った。
「…ずっと思ってたんだけどさ、髪、どうして切っちゃったの?」
長くて綺麗だったのに。
奏者だからこそ、長い髪はすごく似合ってたと思う。
見慣れない青い髪は、凄く目立つ。退廃世界の情報網がなくても、これならすぐに見つかってしまう気がするけどな…。
奏者は少しめんどくさそうな顔をした。
「…ただの、趣味、だってさ」
「趣味?」
「そ。絶対悪、奇抜い色が好きらしくて」
絶対悪の趣味なのか。
「神様は赤じゃん?キスはオレンジだったし…」
知り合いに緑に染めてる人もいて、苔玉という実に失礼なあだ名を付けているとか。
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