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「意味がわからん、帰れ」
「そう言わずにさぁ、この子たちを頼むよ」
この子たち?
霧彦の後ろから、蒼髪と翠髪の幼い少女二人が顔をのぞかせていた。
「三日間だけ預かってくれないか?仕事が忙しくて家に帰れないんだ」
俺は無造作に携帯を手にとった。
「え、何々?」
「あ、警察ですか?ここに誘拐犯が……「わぁぁぁああぁぁ!!!」
霧彦は俺の携帯をむしり取るように取り、携帯の電源を切った。
「何するんだ」
「それはこっちのセリフッ!この子たちは別に誘拐してきたわけじゃないから!私の子供だから」
嘘だろ、おい……
「…………あんた何歳?」
「私は今年で25だが?」
……やっぱり警察に連絡しようかな。
「このことは父さんも知らないんだ。だから、この子たちのことがばれたらえらいことなんだ。だから頼むっ!」
‘あいつ’に内緒?
なんか後ろめたいこともあるのか?まっ、関係ない。
「この子たちの母親に頼め」
「それが彼女も忙しくて………」
情けない奴らだ。面倒見きれないないなら、最初から子どもなんか産むんじゃねぇよ。
こんな奴らを見てると腹が立つ。
だが、この子たちには罪がない。こいつらのその場の感情の高ぶりだけで、産まされたこの子たちには。
「分かった……三日だけだぞ」
「ほんとか!?ありがとう」
「ただし、俺は面倒は見ないからな。それでいいならかまわん」
そう言ってやると霧彦は肩を震わせながらこちらを見た。
「この子たちを悲しませたら………地獄よりおぞましい地獄を見せるからな」
霧彦はまるで鬼のような顔で俺を睨んできた。
別に怖くはなかったが、少し見直した。
「じゃあ、頼むよ♪一通りのことはこの紙に書いてるから」
霧彦は紙を俺に渡して走り去って行った。
「一応、真剣にこの子たちのこと考えているのか……?」
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