二 天才と馬鹿の差

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「何変な想像してんのよ。大丈夫だって、痛くないし」 「本当に?」 「興味深いから記録取っておくだけだってば」 記録ならさっきも取られたような気もするが……まあ彼女なら何をやらかすかわからない。 俺が黙ったのを肯定と受け取ったのか、本庄は携帯電話を取り出した。ここ、地下だよな? 「あ、オール君? ちょっと頼みたいことがあるんだけど、あたしの研究室まで来てくんない?」 本庄の電話相手はオールという人物のようだ。 確か……ムーヴが言っていた人物だ。 「オールって人、どんな人なんだ?」 電話が終わった本庄に聞いてみる。 「こんな人物だが」 聞き慣れぬ声にぱっと振り向く。 そこにはムーヴと、ラングの部屋にいたあの美形の男性。瞬間移動で来たのだろう。心臓が可哀想だ。 オールは見るからに日本人ではない。日本語はムーヴより流暢で、声だけなら完璧に日本人のようだった。 「で、奈々。一体何の用だ?」 オールがだるそうに尋ねる。 気付いたが、オールもムーヴも本庄を名前で呼んでいる。仲が良いのかな? 「この子に触れてみて」 「ん? こいつはさっきラングさんと面会した……」 「遠野悠理です」 自分の名前を言い、手を差し出した。
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