二 天才と馬鹿の差

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その後、本庄の暇潰しに付き合った。 ムーヴに触れて瞬間移動したり、草薙を呼んで物体を空中で止めたり、神川も呼んで未来透視をさせられた。 能力の強弱は変わらないようだ。本当にそっくりそのままコピーしている。 「で、わからないのは一晩たてば能力が元に戻るのか、一度寝れば戻るのかってことよね?」 部屋には俺と本庄だけ。呼んだ人物はすぐに帰し、本庄はメモをとり始めた。なんだかんだで一応本気なんだな。 「ああ、それさえわかればこの機関でも自分の居場所をより特定できるってのに」 「今日実験しよっか?」 にっこり笑う本庄の純粋な笑顔に、俺は断れなかった。 馬鹿みたいな面はいくらでもあるけど、やっぱり彼女は科学者だ。その未知なる事柄に対するまっさらな好奇心は、ついつい協力したくなってしまう。 「今日は徹夜ね。あたしが機関のことについて、夜通しいろいろ教えてあげるわ」 ちょうど良いや。知らないことを聞きまくろう。 「三十分ごとに果物ナイフ避け実験ね」 「物体停止能力にしてください」 もし能力が切れちまったら、俺死んじゃうじゃん? 平穏な夜を望み、明日朝日に感謝しよう。 時間は止まることを知らず、日は刻々と沈んでいった。
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