二 天才と馬鹿の差

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「それと能力を鍛える鍛練部に、主に事件を担当する機関内で一番危険な刑事部、災害救助や事故に駆け付ける救済部の三つ。ムーヴ君とかの瞬間移動能力者だけは無所属で、救助の力になる超能力者を一瞬で現場に運ぶ作業をしているの。まあムーヴ君が一番能力が強いんだけどね」 ややこしくなってきたので、頭の中で一旦整理をしよう。 ラング・カイラーンという人物をトップに、オール副トップがいて、各部署が五つ。 科学部、情報部、鍛練部、刑事部、救済部……俺はどの部が適任なのだろうか? 「あと、基本呼び名は下の名で。これだけの人数がいると、名字だと重なったり似たような発音があるからね。名前の方が聞き取りやすいことを覚えてて」 「了解っす」 なるほど、だからムーヴやオールは本庄を奈々って呼んでいるのか。まあ三人とも歳は近そうだし、気楽に呼べるが俺は違う。しっかり敬称は付けなければ。 草薙や神川も名前で呼べるようにしておこう。 えっと、確か、草薙の名前は帝司で、神川が未来だったよな。 言いにくそうだが、最初は心地の悪いもんだ。徐々に慣れりゃ問題ねーだろ。 「では一通りの説明も終わったところで、第一回、ナイフ回避大会を開催しまーす!」 「いや、だからナイフは駄目だって!」 「問答無用!」 この人は科学の天才であり、科学馬鹿だ。 天才と馬鹿は紙一重。 正にそういうことだと思った。
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