三 絶望の先にあるもの

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実験の結果、俺のコピー能力は夜零時を過ぎれば消えることがわかった。 いやぁー、それにしても零時の実験は焦ったよ。 それまでは悠々と避けていたんだ。止まって見えるほどだった。 それが零時になったら全く体が動かなくなってさ。全身の血管に鉛が流れてんのかと思ったよ。 目の前にナイフが飛んで来て、もう死んだ! と思った瞬間、眼前二センチでオールがナイフの柄を掴んでくれたんだ。身体能力が高いって良いな! そしてその光景をけらけらと愉快そうに笑っていた本庄は鬼だ。 重かった体は五分ぐらいで慣れ、案外すぐに元通りとなった。実験結果は得られたので、夜中一時ぐらいにはきちんと就寝する。研究室の近くの部屋を使っていいようだし、そこで寝よう。 オールは研究室を去り際に、明日にはさらにいろいろな部を見学できることと、重要な知らせがあるからと言い残していった。 重要な知らせって何だろな? 考えている内にいつのまにか夢の中へと旅立っていた。 翌日、食堂で朝食を済ました俺はラングの部屋に呼ばれた。 部屋には俺の他に草薙、神川、ムーヴ、あと知らない白人女性が一人。 知らない白人女性は俺と同い年ぐらいで、長く美しいブロンドの髪の持ち主。丁寧に毛先を巻いていて、まるでモデルのような艶やかな髪をしていた。
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