1100人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「海斗、わりぃ!先に帰ってて!」
「また…?」
「わりぃな!来週からはまた一緒に帰れるからさ」
「わかったよ…」
顔の前で手を合わせて頭を下げる陽介のこの姿をもう何度見たか…
セフレを卒業して2ヶ月…恋人という位置につけてホント幸せで、毎日これは夢なんじゃないかって思いながらすごしてた。
陽介の告白を聞いたときは嬉しくて涙が止まらなかった。不器用な陽介の気持ちやお互い隠してた気持ちを吐露して、再スタートをきったのに…
ここ1ヶ月、陽介との時間は減る一方…
休みの日も会えない…メールをしても返って来ない日が多い…。
陽介の気持ちは疑いたくはないけど…俺にはもう飽きてしまったんじゃないかと気がきじゃないよ。
「あれ?陽介は?」
「知らない、今日も用事があるんだって」
帰る準備をしていれば、友人の実(ミノル)に話しかけられた。
「ふーん、じゃあこれから暇だろ?海斗もこれから俺らとカラオケ行かねえ?」
「んー…じゃあ行こうかな。誰が行くの?」
「よっしゃ、…あー、悟と冬吾と達也。あいつら先に玄関で待ってる」
「そう…いつものメンバーか…」
「ん?不満?」
「ぜんぜん、むしろ落ち着くからいいよ」
陽気な実の言葉に、さっきまでの不安を誤魔化す様に笑顔を浮かべて見せれば、実は「そうだろう」と胸を張って俺の頭を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!