君と僕と…

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こんな気持ちになるのは初めてだった。 新しい玩具がただ単に珍しいだけなのか… 昼休みの終わり、キスをしたのは無意識だった。 蘭はなんとも言えないほどアホ面してたが、俺はと言えば冷静に予想外に柔らかい唇をしっかり味わっていた。 ―男にキスするなんて正気か俺… そう思う反面不思議とイヤじゃない。むしろ舌まで突っ込んでやろうかとすら思って唇を離した。 今までどんな綺麗な女とキスをしてもこんな気持ちにはなった事はない… というか…こんな気持ち、感じた事があったか? キス一つでこんな… 愛しいなんて… 柄にもなくそんな事を思った自分に驚きながらもそれから俺の気持ちはバカみたいに正直だった。 会うたびに更ににハッキリとこの気持ちが膨れ上がる… ―sideR 「あ゛?なんだこれ…」 久しぶりに聞いた太一の地を這うような声音に思わず肩が揺れた。 「えっと…転んで…ぶつけて…」 思わずしどろもどろになりながら告げれば太一は鋭く細めた目でギッと僕を睨み付けた。 「どんな器用な転び方をすりゃあこんな所に痣ができんだよ!」 「っ!」 ドスの効いた声に怒鳴られて思わず目に涙が溜まる。 男のプライドを守るために弁解させて欲しい…俺は決して泣き虫なんかじゃない!…ホント太一のキレた顔を見たら鬼でも逃げるくらい怖いんだよ… そんな情けない顔をして押し黙る僕に太一は言葉をつまらせると、どこか気まずげに眉を寄せて僕の頬に触れた。 「わりぃ…」 「っ…」 ブンブンと首を横に振れば太一はさっきよりは落ち着いた声で…っていっても低く唸る見たいに口を開く 「…俺には殴られた痕に見えるけど?」 「…」 太一は僕の頬に触れた手で唇の端を撫でた。 青くなって切れたそこは、どう頑張っても転んでついた痕じゃない…むしろ喧嘩ばかりしていた太一には見てすぐ分かったであろう、殴られた痕だって…
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