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どうにも何匹も家畜を襲っているようには見えなかったが、妖怪を倒すのが自分の仕事だと、いつもの様に上手く消すはずだったのに…
男は立ち上がると膝についた泥を手で払い、森の奥を見つめた。
痛いと泣き叫ぶあの妖怪の姿を思い出して罪悪感に襲われた…そんな感情は初めて起きたが…
「悪い事を…したな」
―――――
「ぅ…ぅっ…ごめん…ごめんなさいマナ…」
泉へ戻るや否や泉に手を浸され、マナに手を握られる。徐々に痛みは引いてきたものの、怒ったマナの顔は初めてでボロボロと泣くしか出来ない
「…ああ…やはり…。十字架傷は消えないね…」
マナは俺の手の平に残った十字架の後を悲しげに撫でると泣き続ける俺を抱き締めた。
十字架は神の呪いだと、マナは言っていた。
「お前の泣き声が聞こえた時は本当に…心臓が止まるかと思ったよ。私はもう大切な人を失うのは御免だ…」
「っ…ごめ…」
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