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思わず上総の服を掴むと上総は困惑したみたいだけど苦笑いして俺の頭を撫でた。
「どうしたんだよ李斗、エレナは確かに美人だからおっかなく見えるけど…悪い奴じゃないから」
「……う…ん…」
「そうそう、いくらエクソシストだからって取って食ったりもしないし」
クリスさんが緊張を解すように俺の肩に手を乗せる。でもエレナさんみたいに寒気もしなくて…
俺は冷たく見つめ返すエレナさんをジッと見つめた。
普通にしてたら分からない…けど、微かに感じる歪み…。たぶん、間違いない…この人…
「ねぇ李斗、お祭り…私も一緒にダメかしら?」
「……いえ、是非一緒に……」
「そう?ありがとう」
この人…悪魔に憑かれてる…
悪魔…滅多に人の前なんて現れない悪魔は、死の精霊。人が死ぬとき現れて、その人の望みを叶える代わりに生気を吸って生きている。
悪魔にとっても教会やエクソシストは天敵の筈なのになんでここに…
それから上総とクリスさん、エレナさんと町へ繰り出した。終始エレナさんは上総にピタリと寄り添っていて…何だか分からないモヤモヤとした気持ちが俺の心に巣食っていく
楽しそうに話す上総にイライラして…今はそれどころじゃないのに…
その時だったヒヤリと一瞬上総の手が冷たくなって、エレナさんが歪んで見えた。
―ドン
「きゃっ」
「李斗?!」
「上総に触るな!」
上総の手を引いてエレナさんを突飛ばすと、エレナさんは尻餅をついて俺を睨み付けた。
「李斗!何してるんだ!」
「っ!」
上総の怒声に肩を揺らすと上総はエレナさんの手を取って立ち上がらせていた。
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