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エレナさんの…というか悪魔の言葉に思わず言葉を詰まらせれば、悪魔は綺麗な唇は弧を描いて妖艶な笑みを浮かべた。
「私は随分エクソシストに邪魔をされてきた…今度はこの体を使ってエクソシストに仕返しをしてやるのさ…。だから…」
言葉を区切った笑みを一瞬で無くして悪魔は無表情に俺を見据えた。
「今お前に正体をバラされては困るんだよ」
「っ!!」
一気に背筋が凍るほどの冷気が辺りを包んだと思ったら急に背中に衝撃が走る。
「っっハ…ぁ…」
首に食い込むエレナさんの指、いつの間にか俺は倒されていてあまりの苦しさに息ができない。
いやだ…いやだっ苦しい!!
「っ止めろ!!」
「ぅぐっ!」
自分でも何が起きたのか分からなかった。体の奥から燃えるような熱が体を支配して、頭が上手く働かない。
俺はエレナさんの手を無理矢理引き剥がすと力の限りに体勢を入れ替え、気付いた時には逆にエレナさんの首に爪を立てていた。
「今すぐエレナさんの体から出ていけ!」
「殺すか、私を。…殺せるのか?この娘を…」
苦しそうに顔を歪めながらも、嘲笑うように笑う悪魔。
「…っ」
「…フ…やはりバカだな……。キャア!助けて上総っ!」
「っ!?」
嘲笑う様に告げた後に、悪魔は名一杯の声を上げた。それに怯んだ瞬間、ドンっと体に鈍い衝撃。どうなったのか分からないまま地面に倒れこんだ俺の視界に入ったのは怖い形相をしたクリスさんと、エレナさんに駆け寄る上総の姿。
横腹が焼けるように熱い…
「エレナ!」
「ゲホッ…か…ずさ…クリス…」
抱き起こされたエレナさんは首を押さえて上総にすがり付いていて、それを見ていたら胸がツキリと傷んだ。
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