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ぐっと体に力を入れれば熱い横腹から滑った赤い血が大量に溢れた。
エレナさんの手には銃。ああ…撃たれたのかとぼんやりと思った…
「李斗!」
初めて会った時と同じ…冷たい怒りを称えた上総の声にゆっくりと顔を上げる。
「どういうつもりなんだ!お前は…違うと思ってたのに…」
「お前の事を信じていたのに!」
次々と発せられる言葉に段々と心が崩れていく音がする。
ねぇ上総…何があったのか聞いてくれないの?
俺の事…結局化け物だと思ってたの?
上総は俺の事…わかってくれてたと思ってたのに…
一言も言えないまま上総を見つめていると、不意に上総が息を飲んだ。
「上総…と…あえ…傷を…」
クリスさんが何か言って上総の肩を叩いたけど、どうしてだろう…上手く聞き取れなくて…ハッとしたように上総が一歩俺に近づいたのを見て俺は咄嗟に立ち上がって後退る。
ここで、悪魔の思惑通り殺されてはいけない!
ここで殺されてしまったら、上総もクリスさんも悪魔に取り入られてしまう。
ふらつく体を支えて一歩一歩後退ると、何か焦った様な表情を浮かべた上総が俺に手を伸ばしてきて
「…っ!」
「李斗!!」
呼び止めらるた気がしたけど俺は力を振り絞って地面を蹴った。力は入らないけど、俺が走れば人間には追い付けないから…
走って、走って…泉に到着すると青かった服は真っ赤にそまって体を濡らしていた。
もう体に力が入らなくて倒れるように泉に落ちるとフワリと体を支えられる。
「李斗!?」
マナの腕に抱き込まれたのだと認識した瞬間、俺の意識は深い闇へと落ちていった…
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