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その表情に、真っ白になっていた頭が急激に冷めていく。 何を言った… 今李斗に…俺は何て… 「…っり…」 「上総、とりあえず傷を…」 クリスに肩を叩かれてハッとしたように李斗を見れば体を起こした李斗の脇腹は赤く濡れていて… 「李斗っ」 近づこうとすれば李斗はふらつきながら俺から遠ざかっていこうとする。 「逃げないでくれ李斗!動くな!出血が酷い!」 動く度にボタボタと流れ落ちる血に引き留めようと李斗に声をかけても、李斗は血の気の引いた顔で段々と離れていく。 仕方なく無理にでも捕まえようと伸ばした手は空を切った。 「李斗!!」 素早い動きで飛び退いた李斗は振りきるように走っていく…追いかけようとすればクリスに腕を掴まれた。 「上総、まずはエレナの治療が先だ!」 「でも…」 「いいから…エレナから何があったのか…聞こう」 クリスの言葉に無意識のうちに拳を握った。 今まで李斗がいた場所には大量の血だまり… 李斗を責めたくせに…今は酷く李斗の傍にいたかった。 「李斗と話をしようと思ってたんだけど…急に李斗が攻撃してきて…。李斗…エクソシストを恨んでいるみたい…仲良くなるふりをして一人ずつ殺していくって…」 エレナの話を聞いても、イマイチ信じられなかった… さっきまで無条件で信じていたエレナの言葉も疑ってしまう。 「そうか…。李斗の事は、俺と上総で片付けるよ。エレナは傷が癒えるまでここにいな…教会なら安全だし」 クリスの言葉にまでイライラとする。 「分かったわ…」 「上総、ちょっといいか?」 「……」 何でさっきあんなに李斗を疑ってしまったのか… 確かに目の前で李斗がエレナを襲っていたのを見たのに、李斗を信じている自分がいる。 エレナの事は信頼しているのに信じられない自分がいる… 無言のままクリスの後を追うと、教会を出たクリスは難しい表情のまま振り返った。
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