1100人が本棚に入れています
本棚に追加
「…アレを助けたら…また笑ってくれるかい?」
マナの言葉の意味が分からなくて見上げているとマナは特に何も言わないまま頭を撫で続けている。
エレナさんが助かれば、上総も安全なんだし…上総が傷つくのはいやだから…
例え…上総が俺を見てくれなくても、一時でも俺を幸せにしてくれた人だから、幸せに暮らしてくれたら俺は嬉しい。
『うん、勿論。』
上総が笑ってくれたら俺も笑顔になれるんだ…
sideK
「李斗…」
俺はクリスの話を聞いてから居ても立ってもいられず通いなれた泉へと向かっていた。
『エレナの事だけどさ…もしかしたらエレナは何かに取り憑かれてるかもしれない』
『は?』
『この前の…キツネの妖しとの戦いから少し変なんだ…。たまにエレナの聖水が濁ってる。あれからやたらとエレナの仕事が増えてるから邪気を引きずってるせいかと思ってたけど…』
『何を言ってるんだ…邪気なんて憑いてたとしても教会に入れば消えるし、なにしろエレナは十字架だって普通に扱ってるじゃないか』
『…だから分からないんだ。確証はない…けど…もし…
李斗君がそれに気づいてたら…?』
泉へと続く筈の道、いつもマナが張っていた結界は無く変わりに生き物の気配が一切ない静寂に包まれていた。
その静けさが、あの時の李斗を思い出させる…
最初のコメントを投稿しよう!