IF…

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静かすぎる森を抜けて行けばそこにはいつもの泉。 いつもなら李斗がいるその場所には李斗はいなくて、マナもいない。気配をさぐってみれば李斗の気配は全くない…変わりに微かにマナの気配。 「マナいるのか…」 『…出来る事なら今すぐにお前の息の根を止めてやりたいよ』 頭に直接響くような静かな声に辺りの木々がざわつく。 次の瞬間空気が湿り冷たいほどの風が俺を通り抜けて、俺の首に氷の様に冷たい指が絡まっていた。 「何をしに来た…」 マナは俺の首から指を外せば無表情のまま俺の目の前に現れ、憎々しげに俺を見る… 「…李斗は…」 「……死んだよ」 「っな?!」 「そう言えばお前は喜ぶか?…」 「バカな事を言うな!」 「はっ…バカな事を言うな、か…お前には言われたくないな…」 「っ…無事なのか…李斗は…」 マナの言葉に一瞬体が冷えた。マナは俺の言葉に悲しげな笑顔を浮かべれば無事だと呟いた。 「李斗が死んでいたら、今頃お前の仲間共々生きてはいない」
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