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確かに…李斗に会って謝りたい…
でもそれだけかと聞かれたら違う。
「それもある……けど、李斗の笑顔がもう一度見たいんだ…。どれだけ李斗にののしられても、嫌いだと言われても構わない…また少しずつ、李斗との距離を縮めたい…一緒にいたいんだ…」
静かに懇願するように…けれでマナからは視線を反らさずに告げれば、マナは難しい表情で俺を見てから視線を反らした。
「上総…連れてきた」
「何よ上総…え?」
扉が開き、クリスとエレナが入ってくると、エレナはマナを見て困惑の表情を浮かべた。
「…何でここに精霊が?」
「小賢しい演技を…」
マナはエレナを見据えると徐に近づいていく。
エレナは段々と顔を青くしてクリスの後ろに隠れようとしたが、一瞬早くマナに手を捕まれて綺麗な顔を憎々しげに歪めた。
「…クリス、助けて…」
隣にいたクリスに感情のこもらない声でエレナが呟くと、クリスは腰につけていた銃に手を添えた
「っクリス待て!」
銃を抜くより早く俺はクリスの後ろから羽交い締めにして動きを封じる。
「上総離せ!エレナが危ない!」
「何をっ…」
「惑わされたか…」
マナはクリスの額に手を添えると小さく何かを呟いた。クリスはその瞬間体の力を抜いて眠るように目を閉じる
「…マナ」
「邪魔をするな…」
「っ…」
マナは俺を無視するとエレナと視線を合わせ、段々と顔を近づけていく…
マナは最初恐怖に顔を歪ませていたが次第に力が抜けたように、ボンヤリとマナを見つめるようになった。
何が起きているのか…分からないまま様子を見守っていると不意にマナがエレナに口付けた
「マナ!?」
それは深い深い濃厚な口付けで見ているこっちは呆然としてしまう。けれど次の瞬間、エレナの体から黒い影が飛び出した。
「この女は私がいただく…消されたくなければこのまま去るが良い」
マナの低い声に飛び出した黒い影はひきつるような声を上げながら姿を表した。
黒いコウモリのような羽に鬼のような形相の悪魔…
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