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部屋中に悪魔の金切り声がこだまする。
『エクソシストの体を使えば人間なぞ我らの敵では無くなる、その体を返せ…』
「言っただろう、この体は気に入ったと…。お前にどんな目論見があったか知らないが…この体に引き込んだ小物共々自分の住み処へ帰れ」
『精霊とて、エクソシストには敵うまい!』
「エクソシストなど…私の力があればヒヨコ同然」
『返せっ返せっカエセエエエエエエ!!!!』
悪魔の怒声と共にマナへと飛びかかる悪魔。
マナがエレナを抱えたまま後ろへ下がるのとクリスと俺がマナの前へ立ちはだかるのはほぼ同時だった。
「クリス!」
「分かってる!」
飛びかかる悪魔の心臓に銀の剣を突き立て部屋の床にそのまま叩きつけ悪魔の額に十字架を押し当てる。
『ギャァァァァァヤメロ!ヤメロォォォォ!』
聖書を開いて天を仰ぐ
「天に召します、我らが主よ………」
 ̄ ̄ ̄ ̄
「また行くのか上総…」
「ああ…」
「今日は…会えると良いわね…」
あれから、悪魔とエレナの中にいた他の悪魔もろとも祓い…祓い終えた時にはマナの姿は無かった。
結局、何度泉へ足を運んでも李斗には会えない…泉からマナの気配すら消えていた…それでも毎日いつもと同じ時刻に泉へと足を向ける。
李斗は元気にしているんだろうか…
泉へと続く森へと足を向けながらふと足を止めた。
初めて李斗と会った場所…
思えば出会いから俺は李斗を傷つけてばかりだ…。
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