1100人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「李斗…」
思わず名前を呟いても答えてくれる声も…笑顔も無い…
どうしてここまで李斗に会いたがっているのか自分でも不思議だ。李斗を傷つけた事に罪悪感を覚える、このまま忘れてしまいたいとさえ…でもそれ以上に李斗に会いたかった…
自分はそんなに李斗が、好き…なんだろうか…
ーガサッ
「っ!?」
不意に目の前に飛び出して来た人影に息を呑む。
目の前にいたのはずっと会いたかった姿…
「李…斗…」
sideR
マナから…無事にエレナさんから悪魔が出て行った事を聞いた。
やっと安心が出来て、良かったって笑ってマナへと伝えたのに、マナは悲しそうに笑う。
どうして自分は大切な人を安心させてやれないんだろう…。
未だに上総を思うとズキズキと胸が痛むのに、上総の事は忘れられなくて…
嫌われてしまったのに、会いたくて…
あの冷たい目を思い出すと体がすくむのに、会いたい気持ちだけ膨らんでいく。
俺はあの後暫くマナと隣の森へと行っていた。古い友人がいるのだとマナは言ったけど…そこにいたのは新しく住み着き始めた木の精霊で、ロイエと呼ばれていた木の精霊は森を守る番人を自分に選び気ままな旅にでていると言うことを聞かされた。ついでに
『何お前…初対面なのに無愛想だな』
なんて言われて、初めて自分の顔に表情が無いことに気付いた。
最初のコメントを投稿しよう!