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ずっと謝りたかった…、上総の言葉に嬉しくなる…。
もう誤解はしていないと…抱き締めてくれる上総に怒っていないと伝えたい。
―もう怒って無い、上総が謝る事は無いよ
がんばって首を横へと振り笑顔を浮かべたつもりなのに、上総が息を飲んだのを見て、まだ笑えていない事を知った。
どうして…上総は俺を信じてくれたのに…なんで…
「…っ…、李斗…ごめ…ごめん…」
ついに涙を溢れさせた上総は何度も何度も謝って、ごめんと繰り返しながら俺を抱き締め続けた。
上総が悲しむ顔は見たくないのに…上総には笑って欲しいよ…。そう思いを込めて、上総の背中にゆっくり触れる。
「…李斗…俺が憎いなら殺したっていい…だから…笑って…もう一度…」
上総の言葉に息を呑む。
笑ってと…俺に言ってくれた上総…俺が笑ったら上総も笑ってくれるんだろうか…
俺は上総の服を軽く引くと、上総の手の平にゆっくりと文字を書いた
―俺が笑ったら…上総も笑ってくれる?
「え…?」
―上総の笑顔が見たいんだ…。
―俺は上総の事始めから怒って無いよ。だから、上総には笑って欲しい。
そう伝えれば上総は泣きながらもいつもの笑顔を見せてくれた…
「他には…何をすればいい?李斗の為ならなんだってする」
その言葉には緩く首を横へと振って見せた。
―俺は怒って無いって言ったでしょ?上総はそんな罪滅ぼしみたいな事しなくても…
そこまで書いていると手を握られ、真剣な表情で見つめられた。
「李斗…、確かに…罪滅ぼしかもしれない…、李斗が怒ってなくても傷つけた事には代わり無いから…。けどそれだけじゃない…どんな形でも、李斗の傍に居たいんだ…もう一度俺に笑いかけて欲しい…名前を呼んで欲しい…。好きだから李斗の願いを叶えたいんだ」
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