君と僕と…

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呆れた様な表情を浮かべた太一が無言で弁当箱を僕に差し出す。 「俺パンでいいし」 「え?でも約束だし…」 「お前の分だろ?」 「僕の分はパンがあるから大丈夫…」 暫く二人で押し問答して、どんどん太一が不機嫌になってくれば咄嗟にやばいと感じて強行突破に出た。 僕はパンを素早く袋から出せば一気に口へと運ぶ。食べるパンが無ければ太一も諦めると思って…。案の定太一は俺の行動に呆気にとられたような表情を浮かべて大人しく弁当箱を開いた。 「ったく…無茶苦茶だな…」 それを君に言われたくはない…。とも言えないけれど… 「いいんだよ…。太一は美味しそうに弁当食べてくれるから…食べて欲しい」 そう言えば、太一は一瞬驚きながらも嬉しげに表情を緩めて弁当を食べ始めた。 そんなこんなで一週間。いろいろ変わってきた事がある。 まず、太一が怖い顔をしなくなった事。日に日に優しくなってくる太一に少し戸惑ってしまうのが本音なんだよね…睨まれるのもこまるけど…。弁当の件でも薄々気づいてはいたけど、太一って見た目とは裏腹に優しいんだ。それからスキンシップも…増えた。 手を握ったり、抱き締めたり…キスはあれ以来ないけれど… それから僕。僕には生傷が増えていた。 「調子乗ってないでよねー」 ドンと肩を押されて尻餅をつく。 世に言う親衛隊というやつか…太一の親衛隊に呼び出される事が増えてきた。 彼等曰く「お前みたいな凡人に付きまとわれて太一が可哀想」「お情けで付き合ってもらってるんだ」「お前みたいなのは不釣り合いだ」等…。要はひがみだ。 彼等は決して見える位置には攻撃はしない。だからお腹とか背中とか結構痛いことになってたりする…文句を言いながらも万が一僕がホントに太一にとって「大切」な存在で、嫌がらせがバレた時の仕返しが怖いんだろうと思う。 でも僕も僕でこの事は太一に言うつもりはなくて…。 だって…太一が僕の事が好きなんて分からないじゃないか…
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