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僕がカロンから聞いた話を皆に教えていた頃、先生達にも何かが起ころうとしていた。
「ちょっとこれ……お茶の味がおかしくないですか?」
そう呟いたアール先生はいきなり手に持っていたコップを落としてしまった。
「これはパラライズっ……!」
腕は痙攣を起こし握力を根こそぎ奪っていく。
「おいっ!大丈夫か?」
クタヤ先生も解毒しようと彼に駆け寄るが自らも痙攣を起こし膝をつく。
「何なんだこれは……。一人一人に違う毒を盛ってい……たの……ね。」
星先生は動悸に苦しんでいた。
星先生は苦し紛れに教育実習生のシーナを狭まる視界から探したが見つからなかった。
「お疲れ様です。先生方。このご恩は一生忘れませんわ。生徒共々死に逝くがいいですわ。」
シーナは軽く微笑むと指をパチンと鳴らした。
すらりとした透き通る肌の脚は鱗に包まれ、あるべき姿へと変身していった。凶々しい魔物ではなく美しい精霊へと彼女は変わり、遺跡の深くへと侵入していった。
「精霊……なのか?」
「気配など感じなかったが……」
教師達は力無く呟くしかなかった。
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